コワーキングスペースの本質は「スペース」ではなく「コミュニティ」にある。もう少し具体的に言えば、それは「コミュニケーション」です。コミュニケーションによって多様なスキルやノウハウ、リソースを持った人たちが繋がることで、コワーキングスペースの価値は飛躍的に大きくなるのです。
コミュニケーションが重要だとすれば、そこに「スペース」は必須ではない。必須なのは人が繋がる仕組みです。もちろん、スペースを提供することは人を繋げる良い方法でしょう。でもそれは「唯一の方法」ではない。
ならば、私は「スペース」に頼らずにコミュニケーションを生み出そう。そういったコンセプトで働き方の実験をしてみようと思いました。その実験は、場所に囚われない働き方をしながら、それでもしっかりと繋がれるのではないかという仮説にもとづいています。
コワーキングスペースではスペースの利用料をユーザーからもらって運営しています。だとすれば、同じように、コミュニティの利用料をユーザーからもらって運営することもできるはずです。
つまり、会員制のコミュニティを作ればいい。
ご存知かもしれませんが、有料の会員制コミュニティの呼び方に「サロン」という言葉があります。今回の実験では、働き方を中心にすえた協働的なサロンということで、このコンセプトを
コワーキングサロン(協働的会員制コミュニティ)
と名付けました。スキルを高め、メンバー同士で繋がり新しい機会や仕事を生み出し、自己実現までもサポートする会員制コミュニティです。
議論メシの誕生
コワーキングサロンには、人が集まる理由(テーマ)が必要です。
そこで、私が生業としている「ディスカッションパートナー」という職業にフォーカスし、議論(ディスカッション)でメシを食べていく人が集まるコワーキングサロンに仕立てました。
こちらが「議論メシ」のサイトです。
特筆すべきは、いわゆる「オンラインサロン」ではないということです。オンラインでの活動は全体の一部で、色々な種類のオフラインでの対話を持つことにしています。例えば、議論メシでは以下のような取り組みを行っています。
1.ディスカッションシェアリング
ライドシェアが「クルマの空き席をシェア」するのと同じように、ディスカッションシェアリングでは「ディスカッションの空き席をシェア」します。他の人のディスカッションに相乗りできるのです。これによって、ディスカッションのホストは新しい視点を得ることができ、ゲストは貴重な経験をすることができます。
2.集団ディスカッション(Free-D)
企業から「テーマ」と「場所」を提供してもらえたら、議論メシメンバーが無償でディスカッションに参加するという取り組みです。
ディスカッションのテーマは「◯◯の事業計画について」ということもあれば「業界の今後について」など、様々な領域に及びます。
3.定期Meetup(毎月第三月曜日19時開催)
定期的にMeetupを開き、お互いの成功体験や失敗体験を共有します。また、テーマを決めてディスカッションをすることで各自のスキルを高め合う場としても機能しています。
議論メシはオフラインでの取り組みに力を入れていますが、あくまで手段の話なので、オンラインで十分な体験が提供できるようになったらオンラインの比重を増やす可能性はあります。
議論メシのカルチャーコード
議論メシのカルチャーコード(大事にすること)は「Jam Session」という言葉で表現できます。奏者どうしがアドリブで演奏するJam Sessionでは、いい音楽を作るという「目的志向」である必要があります。
また、他の楽器奏者の演奏やその意図を感じ取って「コラボレーション」することで、豊かな新しい音楽が「創造」されるのです。
「目的志向の創造的コラボレーション」こそが議論メシのカルチャーコードです。
議論メシの作り方
最後に、このコワーキングサロンを成立させるために活用したツールや手法をご紹介します。自分でもコワーキングサロンをやってみたい方がいたらご協力します。
- ランディングページ作成:Strikingly
- 決済手段:paymo biz、Square
- 非公開コミュニティ作成:Facebookグループ
- オンラインディスカッション:Quora
- メンバーの管理:Evernote
- タスク管理:asana
- 集客:クチコミ、招待、ブログ記事、Facebookページ、Facebook広告
ちなみに今回、オンラインサロンプラットフォームを使わなかったのは、手数料を取られてしまうからです。手数料分をサロンメンバーに還元させることが、プラットフォームから得られるメリットよりも重要だと考えたからです。
議論メシにご興味持っていただけたら、是非一度ご参加いただければと思います。第1期メンバーのお申込みはこちら。お待ちしています。